タイルを選ぶ時、つい柄や質感に目が行きがちですが、実は「目地」も空間の印象を変えるんです。
同じタイルでも、目地の色・幅・仕上げを変えるだけで、ナチュラルにも、モダンにも、クラフト感のある表情にも。
今回はそんな“脇役だけど重要”な存在、タイルの目地を掘り下げます。
✦ 素材偏愛シリーズ ✦
素材の魅力を、インテリアコーディネーター目線で少しマニアックに語る連載です。
今回は「素材偏愛シリーズ vol.3」で、タイルの目地に注目します。
目地が空間の印象を決める理由
みなさんは、タイルの「目地」って知っていますか?
タイルとタイルの間を走る、たてとよこの細いすき間の部分です。
一見脇役のようですが、じつはこの“線”――ほんの数ミリの違いでも、光の当たり方や陰影の出方が変わり、空間の印象を左右します。
その線は、タイルの並びを整え、面のつながりをつくります。そして、空間の中に静かなリズムや余白を生み出すのです。だからこそ、目地の幅や色、仕上げ方によって、同じタイルでも見え方ががらりと変わります。
床・壁・キッチン・洗面など、用途によって求められる印象はさまざま。
たとえば、床には「すっきり感」や「清掃性」、壁には「素材感」や「アクセント性」が重視されます。
目的に合わせて目地のデザインを考えると、より完成度の高い仕上がりになります。
目地の「色」で変わる印象
同系色
タイルと目地の色をそろえることで、面としての一体感が生まれ、すっきりとした印象に。
たとえば白いタイルに白い目地を合わせると、面としてスッキリと見え、空間が広く感じられます。
シンプルモダンやナチュラルモダン、ホテルライクなどの空間に。
コントラスト色
目地をあえて際立たせることでタイルの形状や並びが強調され、モダンでグリッド感のある印象に。
白タイル×チャコールグレー目地や、黒タイル×白目地などが代表的です。
空間に“シャープさ”を出したいときに効果的。
ニュアンス色
グレージュやチャコールなど、中間色の目地を選ぶと、タイルとなじみつつ自然な陰影が生まれます。クラフト感や温かみを出したいときにおすすめで、木目や石目など素材感のあるタイルとも好相性です。
目地の「幅」で変わる印象
細い目地(2〜3mm程度)は、タイルをフラットに見せ、モダンで洗練された印象に。
一方、太い目地(5mm以上)は、タイル一枚一枚の存在感を引き立て、ラフでクラフト感のある表情になります。
特に海外の住宅では、意図的に太めの目地で仕上げるケースも多く、素材のラフさや手仕事感を演出するのに効果的です。
目地の「仕上げ」で変わる質感
【平目地(フラット仕上げ)】は、タイルと目地が同じ高さで仕上がり、すっきりとモダンな印象。
照明の反射も均一になり、清掃性にも優れます。
【沈み目地】は、目地が少し下がる(タイル表面より目地がわずかに奥まる)ことで光の当たり方により影が生まれ、立体感や素材の存在感が増します。特に艶消しタイルとの組み合わせでは、陰影が柔らかく自然に出るのが魅力です。
【深目地(凹凸仕上げ)】
コーディネーターが考える「目地選び」のコツ
目地を選ぶときには、仕上がりに影響する部分なので、カラーサンプルだけでなく、「実際に施工された写真」で確認すると安心です。タイルの実物サンプル(単体)だけでは、タイルと目地の組み合わせによる“全体の印象”がつかみにくいためです(すべての組み合わせがあるとは限らないのでメーカーや施工会社にご確認ください)。
施工例写真を見ることで、光の当たり方や広い面での見え方、空間全体でのバランスが把握しやすく、完成後のイメージとの差が少なくなります。
そのうえで、気に入った実例の目地色を参考に、実際のサンプルを並べて最終確認を。
デザイン性だけでなく、清掃性なども考慮して選ぶと、より満足度の高い仕上がりになります。
タイルの目地にまつわる、ちょっとマニアックな話
ここからは少し専門的な内容を簡単にまとめてみます。
■目地の詰め方
目地には「全面に詰める」方法と「空目地」と呼ばれる方法があります。
一般的に目地は全面に詰めますが、空目地は主に壁面で使われ、目地をあえて詰めずにタイルの凹凸を際立たせる仕上げ。光の当たり方で陰影が強調され、より立体的に見せることができます。
■目地材の種類
モルタル系の目地材が一般的ですが、最近では汚れにくい樹脂系タイプも登場しています。
色味もホワイトやグレーだけでなく、ベージュやチャコール、パステルカラーなどさまざま。
タイルの色味に合わせて選ぶことで、統一感やコントラストを調整できます。
■貼り方による違い
同じ目地でも、タイルの貼り方によって印象は変わります。
たとえば「レンガ貼り」「ヘリンボーン貼り」など、貼り方のパターンでリズムや視線の流れが変わるんです。(貼り方については、素材偏愛シリーズvol.1でも少し説明しています。)
※この記事では、内装タイルを中心にお話ししています。
外装タイルは施工方法や材料が異なるため、別の視点での検討が必要になります。
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目地はタイルをつなぐだけでなく、空間の表情をつくる要素になります。
色の違い、太さや深さの違いで、印象はがらりと変わります。
仕上げや貼り方と合わせて、目地の「見え方」も意識して選ぶことで、思い描いた空間により近づけるはずです。
次回は「素材偏愛シリーズ vol.4|クロス(壁紙)質感の違いについて」をお届け予定です。
11月10日頃の公開を予定していますので、お楽しみに👋
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